「幼い子どもの絵をステンドグラスに」事始め
二十代の頃、京都寺町にあるアンティーク屋でステンドグラスの修復やリメイクを手掛けていたのだが、店主のご夫婦に当時5歳くらいの坊ちゃんがおられた。
彼のお絵かき帳は、かわいい絵で満載だった。素直な線は見ていて心地よく、シンプルな線はそのまますぐステンドグラスの下絵になりそうだった。
早速、描いた彼のウルトラマンの絵を使って制作してみると案の定かわいい。型板ガラスのヒシクロスと、ダイヤガラスが周囲を巻くのにちょうどいい感じだった。
この頃に描く線は、もう二度と描けないものだろう。でもお絵かき帳はやがて無くなってしまうかもしれない。ステンドグラスにしておけば、ずっと残せる。本人が大人になっても残っている。
これがきっかけになって、「子どもの絵をステンドグラスにする」は自分の中でテーマの一つになった。
このパネルは今もお店の2階に架かっているだろう。ウルトラマンを描いた坊ちゃんはもう立派に成長してお店を任されている。

